コスチュームジュエリーとは

アクセサリーとコスチュームジュエリー

私達は、ネックレスやイアリング、ピアス、ブローチなどを「アクセサリー」と呼んでいますが、この呼び方は、日本独特のものです。海外では、こうした装飾品は、一般に「コスチュームジュエリー」と呼ばれています。

 

英語で「アクセサリー(accessory)」という言葉は、「付属品」を意味し、カーアクセサリー・ルームアクセサリーなどと使われます。そのため、単に「アクセサリー」と言っても、何の付属品かが分かりません。英語圏で「ファッションアクセサリー」と言う場合、ネックレスやイアリングを含め、帽子・バッグ・手袋・ベルトなど、幅広いファッション小物全体を指します。つまり、日本でいう「アクセサリー」よりも、もっと広い意味の言葉です。

 

なぜ、日本で「アクセサリー」という言葉が定着したのか、その理由は、『日本のコスチュームジュエリー史』(アクセサリーミュージアム館長田中元子さん著)に詳しくありますので、ぜひ、ご一読ください。

  

 

 

ファインジュエリーとの違い

装身具(身につけておしゃれを楽しむもの)は、大まかに次の2つに分けることができます。

 ・ファインジュエリー

 ・コスチュームジュエリー

 

この2つの違いは、「何に価値を置くか」という点です。

ファインジュエリーは、使用する素材が「高価である」ことが第一の価値で、金やプラチナなどの貴金属、貴石(ダイヤモンド、 サファイア、 ルビー、 エメラルド、 真珠など)などが使われます。

ファインジュエリーの中でも、更に希少な素材を使用したジュエリーは、ハイジュエリーと呼ばれます。

 

一方、コスチュームジュエリーは、素材よりもデザイン性を重視します。着けたときの「おしゃれさ」や「自分に似合うか」が、価値の基準となります。

 

 

 

コスチュームジュエリーとは 

コスチュームジュエリーは、デザイン性を第一の価値とするジュエリーです。プラスチック、ガラス、木,人造宝石、時には新聞紙など、自由な発想で多種多様な素材が使われます。

これを、コスチュームジュエリー研究家 小瀧千佐子さんは、「素材からの解放」と表現しています。

 

もともと装飾品は、王侯貴族など一部の特権階級が、権威や富の象徴として身につけるものでした。製造技術の向上により、精巧な模造品が作られるようになり、富裕層の増加とともに一般の人々にも広がりました。20世紀初頭に、全く新しいファッションスタイルが登場し、そのファッションに合うジュエリーが求めらたことで、”洋服に合うジュエリー”として、コスチュームジュエリーが生まれました。

 

第一次大戦後、女性の社会進出が進み、自立心が高まる中で、動きやすい服装と個性を演出するためのコスチュームジュエリーが女性たちに支持されるようになりました。ファッションが世の中の空気感を表すように、コスチュームジュエリーも社会情勢や世相に呼応しています。

 

 

シャネルの創設者ココ・シャネルは、コスチュームジュエリーの先駆者として知られています。彼女は、模造真珠と本真珠を混ぜたロングネックレスを好んで身につけ、素材が本物でなくても着けて素敵であることのほうが価値があるという意味を込めて「リアル・フェイク・ジュエリー(本物の偽物のジュエリー)」と呼びました。

 

 

「これが無くては、私らしい装いは完成しない」と思えるような、身につける人を惹きたて個性を表現するアイテムこそ、優れたコスチュームジュエリーと言えるでしょう。